自社開発の「baserCMS」で注目を集める「株式会社キャッチアップ」

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株式会社キャッチアップ社長 江頭竜二氏プロフィール

1973年佐賀県生まれ、佐賀育ち。就職後は福岡へ。
27歳で他業種よりIT関連会社へ転職。その後、2007年に独立。
5年間のフリーランスを経験後、2012年1月、株式会社キャッチアップを立ち上げ、フリーランス中に参加したコミュニティ活動を通じて、2010年に自身が開発していたCMS「baserCMS」をオープンソースとして公開。
現在は、baserCMSのコミュニティであるbaserCMSユーザー会を運営し、全国的な活動を行なっている。2014年には、baserCMSを継続的に普及促進、機能改善していく為、特定非営利活動法人ベーサー・ファウンデーションを設立。

株式会社キャッチアップ社長 江頭竜二氏

独自のオープンソースを軸に500以上のサイトを構築


―まずは会社のことを教えてください。

株式会社キャッチアップは、2012年に福岡市で設立したWebシステムの開発会社です。オリジナルのオープンソース「baserCMS」(べーサーシーエムエス)などを使って、500以上のWebサイトの構築に関わってきました。不動産から学校、企業、ECサイトまで幅広く手がけています。

―「baserCMS」はどんなものでしょう?

Webサイトを自由にカスタマイズできる国産CMSです。日本人がみんなで作っているオープンソース・ソフトウェアで、さまざまなサーバーで利用できて、無料なんですよ。

―Wordpress(ワードプレス)みたいなものですね。それを開発されて無料で提供されているんですね。

はい、Wordpressは海外で開発されて世界中の人が使っていますね。「baserCMS」も同じようにベースの部分はタダです。多くの人を巻き込んでいいものにしたくて、オープンソースにしました。ただ、これは家に例えると土地や基礎みたいなもので、さらに上に家を建てたい場合は、有料で弊社でもお受けしています。

―同じような無料のソフトウェアは他にたくさんあるのですか?

有料のものは膨大にありますが、国産で無料で長く続いているのは「baserCMS」だけかもしれません。今は23万DLを突破しました。

―国内で唯一なんて、すごいですね。

株式会社キャッチアップ社長 江頭竜二氏

異業種を転々としながら貪欲に学び続け、34歳で創業


―江頭さんはどんなお子さんでしたか?

あまり人に話していないのですが、実は驚くほど貧乏で壮絶な幼少期を過ごしました。佐賀市で生まれて、当時の家は人が住んでいると思えないほど古くてボロボロ。父がギャンブル依存症で、深酒しては夜な夜な僕に厳しくあたり、僕が8歳のとき、両親は離婚しました。一時は親戚に預けられたりながら、母が仕事をいくつも掛け持ちして、僕と妹を必死に育ててくれました。高校時代は荒れたりしたけど、この状況から抜け出すためには自分が稼がなければという思いが強くて、奨学金をもらってビジネス系の専門学校に通い、簿記などを学びました。「とにかくお金持ちになりたい」と考えていましたね。

―ご苦労されたのですね。専門学校を卒業後、IT系の会社に入られたのですか?

いえいえ、初めに就職したのは佐賀銀行です。でも自分には合わないと感じて、車が好きだったので正社員としてガソリンスタンドに転職し、副店長になりました。ただ、将来が見通せずに26歳で職業訓練校に。そこで初めて触れたパソコンの面白さにハマりました。Webデザイナーになりたくて会社を探したのですが、10社ほど連続で落ちてしまい…27歳で未経験で雇ってくれるところはありませんでした。

―それで、どうされたんですか?

悔しくて悔しくて、猛勉強を続けました。Web業界への就職は諦めて、コールセンター代行業の会社に入り、スーパーバイザーに。

―業界が違いますね。

ちょうど社内で通販を始めるという話があり、その仕事をしたいと訴え続けました。しかし、なかなか配属にならず、普段の仕事の傍ら、深夜まで自発的に社内の情報システムを改善したり、受発注システムを使いやすいように作り替えたりしていました。しばらくすると努力と実力が認められて、ようやくシステム部に配属になりました。

―すばらしいですね。職業訓練校で数カ月習っただけで、そんなことができるようになるんですか?

はい、ひたすら本を読んで、実践しながら勉強を続けました。通勤中もいつも本を読んでましたね。当時はまだエンジニアという仕事が確立していなくて、大手企業にでも入らなければ教えてくれる人もいなかった。探究心を持って学び続けてきた人だけが、今も業界に残っているのだと思います。

―なるほど、社内システムの開発など、実践は強いですね。努力家ですね。

学ぶことが面白かったし、どうしてもWebの仕事をしたいと思っていたんです。それで2007年にひとりでホームページ制作の仕事を始めました。といっても、仕事のあても人脈もなく、ひとまずコールセンターの業務を手伝って食いつないでいるような状況でした。本当はデザイナー志望でしたが、自分には限られた時間でクオリティを出すのが難しく、システム1本でいこうと決めたら、外注として仕事をもらえるようになりました。

株式会社キャッチアップ社長 江頭竜二氏

苦しい時期に「baserCMS」を作り、多くの人に助けられた


―「baserCMS」はいつ頃作られたのですか?

仕事が少し軌道に乗ったところでリーマンショックが起こり、またもや厳しい状況に。毎日98円のレトルトカレーばかり食べてましたよ(笑)。焦りを感じながら、寝る間を惜しんで少しずつ「baserCMS」を作りました。Webサイト制作のベースは似たような部分が多く、それを標準化することで仕事のスピードアップを図ろうと思ったんです。

―ご自分のために作られたと。

はい、それをビジネスにできないかなと思い、ヌーラボの橋本さんに相談したところ、オープンソースというやり方があると教えてもらい、2010年にオープンソースとしてリリースしました。ちょうどWordPressが流行し始めたところで、後々の仕事につながるかもという思いもありました。

―でも、誰も知らない「baserCMS」を広めていくのは大変ですよね。どうやって23万DLまで増えたのでしょう?

まずは福岡のITコミュニティで紹介させてもらい、全国のイベントに出展したりしました。いろいろな人が協力してくださって、本当にありがたかったです。

―2012年に会社を設立されてからは順調ですか?

いえいえ、法人化してすぐに仕事がなくなり、あと1カ月仕事が取れなかったら終わると覚悟したことも。債務超過でかなり厳しい時期もありました。でも、いろんな人に助けてもらい、どうにか乗り越えてきました。今は売上の8割が「baserCMS」関連になり、苦しい時期に作っておいて本当によかったと思います。コンテストを開催するとき、マイクロソフトがスポンサーになってくれたこともあります。

―オリジナルのものがあるのは強みですね。社員も徐々に増えたのですか?

いやー、人を採用しても、なかなか続かなかった時期も…。まずは自分がどうしたいのか明文化しなければと思い、企業理念「一緒に『できる』を創り出す」やビジョン、ミッションを定めました。2016年からは離職者がゼロで、今は20人の社員が働いてくれています。

―もともと社長になりたいと思ってらっしゃいました?

手に職をつけて、母に恩返ししたいという思いはずっと心の奥にありました。決して口にはしないけれど。そのためにしっかり稼ぎたくて、会社員よりは起業した方がいい、会社を作ってどこまでやれるかチャレンジしたいと考えていました。

株式会社キャッチアップ社長 江頭竜二氏

会社のビジネスや仕組みを整え、福岡や業界にも貢献したい


―ホームページを拝見したら、とても素敵なオフィスですね。社内でヨガもされて健康経営にも力を入れてらっしゃいます。

ありがとうございます。5年前から定期的に東京出張に行き、最先端のオフィスを見学して自社に取り入れたり、新しい技術や情報を学び活用したりしています。ヨガを始めたのは、仕事中は座りっぱなしの社員たちの心身が少しでも健やかになればと思ったからです。

―「RECRUIT」のページは、すごく楽しそうな社内の雰囲気が伝わってきました。

社内外の人たちと「一緒に」という思いが強くて、ボトムアップの組織を作りたいと思っています。チームワークを大切にしたいので、社内にレクレーション委員会を作り、花見やバーベキュー、社員旅行などのイベントを企画運営してもらっています。委員にはちゃんと手当も出るんですよ。

―もし私が会社のホームページを作るとしたら、こんな風にしたいと思いました。

そうですか、うれしいです。ちょうどこの情報発信スタイルのリクルートサイトを月極で利用できるサービス「knowme」(ノウミー)をリリースして、ブラッシュアップしているところです。

―あら、本当ですか。喜ばれるサービスだと思います。

これからもっと社員を採用したいと思っていて、会社の情報をしっかり伝えることでミスマッチが減ると思っています。そして、せっかく入社してくれた社員がやりがいを感じながら楽しく働けるように、経営理念をベースとした人事評価を作りました。中小企業だからこその自由度があり、頑張りが評価につながるような制度になっています。
これから6年以内に社員を40人まで増やし、来年には初の新卒社員を入れてみたい。そして社員が安心して長く働くことができて、会社がずっと継続していく仕組みを作りたいです。ちなみに先日、社員に無記名のアンケートを取ったら、「入社してよかった」が100%、「どうすれば給与が上がるか分かっている」が100%。会社設立からトライアンドエラーを繰り返してきたので、この結果には感動しました(笑)。

―私も25年にわたって会社を経営してきたので、江頭さんのお気持ちがよく分かります。最後に、これからの展望を教えてください。

今お話したような会社の仕組みを整えるとともに、「baserCMS」をもっと普及させたいと思っています。2014年にはNPO法人「べーサー・ファウンデーション」を設立し、全国的に活動しています。もっと広まることが協力してくれた方々への恩返しになるし、エンジニアが開発したものを販売できるマーケットプレイスもあって、頑張っているクリエイターが少しでもお金を得られる場になればと考えています。僕自身がコミュニティに助けられてきたので、今はコミュニティを運営する側としても活動しています。自社のことだけでなく、クリエイターや業界全体を盛り上げるような役割を果たしていきたいです。

―ちなみに、お母様には恩返しされましたか?

はい、おかげさまで、どうにか佐賀に家を建てることができました。母が喜んでくれて、僕もうれしかったです。

株式会社キャッチアップ社長 江頭竜二氏

DATA
会社名:株式会社キャッチアップ
代表者:江頭 竜二
事業:Webシステム開発、baserCMSの開発元
URL:https://catchup.co.jp/


Interviewer:村山由香里
Interview Writer:佐々木恵美
Photographer:高巣秀幸 URL https://takasu.love/


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